小池都知事の発言に抗議します
<抗議文>
関東大震災虐殺100年にあたり小池都知事の発言に抗議します
わたしたちは、本年、2023年9月に関東大震災100年朝鮮人および中国人虐殺犠牲者の追悼と責任追及に取りかかっています。
その最中の去る2月21日、東京都の定例都議会においてある議員による、関東大震災時の多数の朝鮮人虐殺に関する質問に、小池百合子都知事は、「何が明白な事実かについては、歴史家がひもとくものだ」と答弁したことがメディアによって報道されました。
わたしたちは、小池都知事のこの答弁に対して、驚きと共に深い疑念を抱かずにおれません。今日に至るまで、関東大震災時の朝鮮人虐殺については、数多くの歴史研究者が実証的研究と幾多の証言の収集と分析によって虐殺の歴史事実をひもといてきたのです。さらに内閣府に属する中央防災会議による『災害訓練の継承に関する専門調査会報告書』(2008年3月)の第2編「1923 関東大震災」には、内務省、軍部、官憲、流言蜚語、そして自警団が大震災時における朝鮮人虐殺にどのようにかかわっていたか、詳細に報告しています(79-122、179-205、214-215頁)。小池都知事の答弁は、これらの歴史研究の成果と中央防災会議の報告に対する無知を意味するのでしょうか。
1973年9月以来、東京都知事が毎年9月1日に追悼式典に送り続けてきた関東大震災朝鮮人虐殺に関する追悼文を、小池都知事は、知事に就任した翌年である2017年9月から今日に至るまで取り止めてきました。その経緯を振り返るならば、先の小池都知事の答弁は、無知からではなく、歴史研究の成果と中央防災会議報告に誠実に向き合おうとしない意図的な言動であることがわかります。
そのことは、2017年8月25日に行われた定例記者会見での、記者の質問に対する小池都知事の答弁から明らかです。その記者会見で小池都知事は、その歴史を虐殺と見るかどうかは、「さまざまな歴史認識があろうかと思う」とそれぞれの歴史認識の違いの問題としてすり替えたのです。そして結局、「大きな災害、それに続く様々な事情で亡くなられた方」という表現によって終始「虐殺」という言葉を避けながら、災害犠牲者と虐殺犠牲者とを区別せず追悼する、という立場を表明したのです。
小池都知事のこのような考え方から、去る2月21日の発言が出て来ていることを、わたしたちは見逃すことはできません。
災害犠牲者の死と、虐殺犠牲者の死とを同等に扱いながら虐殺の歴史事実の認識から逃避し、その国家と行政の責任を不問に伏すという考え方とは、専制国家の暴君でもない限り、今日の世界において全く受け入れがたいものであり、東京都行政の最高責任者としても人間としても恥ずべき姿勢というほかありません。
わたしたちは関東大震災虐殺100年を迎えるにあたり、小池都知事のこのような姿勢を断固糾弾し、抗議するものであります。
2023年3月1日
関東虐殺100周忌追悼事業推進委員会(*注:韓国の団体)
関東大震災朝鮮人虐殺100周年犠牲者の追悼と責任追及行動実行委員会
関東大震災朝鮮人・中国人虐殺 100 年犠牲者追悼大会実行委員会
0 件のコメント:
コメントを投稿